心構えと準備


 近所の里山ハイキングを目指す人がいる。 半年後に富士登頂を目指す人がいる。 この二人の心構えと準備レベルは同じで良いのだろうか? 当然に、その心構えと準備には格段の違いがあります。
お四国を歩いて巡るには相応の心構えと事前準備が必要です。 自分の足だけを頼りとし、未知の見知らぬ山河を超えてゆく旅、未体験の長旅に畏れを想わず、無知・無策で挑戦するのは大怪我の元です。 稀に「痛めた身体は歩きながら治す」との激しい気迫の凄いお遍路さんもいるかも知れませんが、凡人の私達にはとても無理な境地です。 歩き遍路は、疲労や辛さ、雨や日照りも覚悟・承知の修行の路です。 「歩くという原点」から遠く離れてしまったバスツアーやタクシー等の観光気分の「団体さん」や「札所巡り」そして「スタンプラリー運転者」とは全く世界が違うのです。 ひ弱な足腰や軟弱な甘え心などの入る余地は無いのです。 だからこそ、真剣に足腰の鍛錬や心構えそして諸々の準備に取り組まれてください。
以下に、歩いてお四国を巡るお遍路さんの心構えと事前準備について実体験からまとめてみました

 

*「遍路」とは、弘法大師の足跡を徒歩で巡る修行の旅をいいます。 その表現には お四国さん・本四国・四国遍路・四国巡礼・巡礼・四国八十八ヶ所・四国八十八箇所巡り・八十八霊場巡拝・四国霊場巡りなどの表現がなされています。 いずれも四国の発心(阿波)・修行(土佐)・菩提(伊予)・涅槃(讃岐)の各道場を巡る修行の旅です。 なお、慣例として「遍路」は四国の山野を巡る修行の旅を意味し、「巡礼」は西国三十三観音霊場巡りのことを称します。 また、バスや自動車等で八十八カ所を巡る旅は「札所巡り」・「霊場巡り」と表し、本物のお遍路とは区別しています


心の準備

1.想定外の出来事も想定の範囲内と受け入れる

雨は降るもの、肉刺はできるもの、宿は突然に休業するもの、コンビニは探してもみつからないもの、電池は突然切れるもの、身体はヘトヘトに疲れるものです。 予測を超える想定外の出来事も生じます。 想定外の出来事も全て想定の範囲内として受け入れる心を持ってください。 → 甘え心なぞ最初から捨ててきてください、周りに文句を聞いてくれる人もいません。


2.お大師さまを真似て歩く旅

仏教には三つの教えがあるんだそうです。 つは「仏様の教」、つは「仏様になるための教え」、つは「仏様を真似て生きる教え」だそうです。
仏様を真似て生きるというのは、仏様になったつもりで仏様の真似をして生きてゆこうと発心すること。 言い換えると毎朝、目覚めた時にちょっと発心する。 そしてお大師さまのように顔を洗い、お大師さまになったつもりでご飯をいただき、挨拶をする。 勿論、初めはよちよち歩きのお大師さまだから、なかなか巧く真似ることができないけれども「お四国」を歩きながら少しずつ真似をしてゆけば良いわけです。 お遍路さんは、悪しきことをせず善きことに励みながら四国の山野を歩いて巡るなかで自分の心を浄めてゆくこと。 それがお大師さまを真似てゆくことになります。 だから、お四国ってお大師さまと「同行二人」の修行なのです。


3.清浄心に還る旅

お四国ではお大師さまが一緒に同行してくださると言われますが、お大師さまも超多忙のお立場ですので、あまり頼ってもいけないと思います。 自分で積み上げ、自分に積もり積もった分厚い殻やエゴなどを捨てながら、本来の素直な自分(本来の自分自身)に立ち還ること。 「殻だらけの自分」と「本来の素直な自分」、この二人が一緒に同行しながら、本来の素直な自分一人に還る修行の路、清浄心に立ち還るのがお四国です。 
お遍路は、歩きを通して素直な自分に出会うのです。 そして、これこそが「同行二人」の教えなのでしょう。


4.お遍路さんは自燈明

ヘトヘトに疲れても次の一歩を踏み出さなければ宿に着けません、往くも休むも自分次第です。 満願を果たし達成感に満ちるお遍路さんもいれば、自分の準備不足や弱気に因って挫折してしまう方も随分といらっしゃいます。 お遍路は自らに由って自らが在る姿「自由自在」・「自主自立」・「自業自得」そのものです。 往くもよし、休むも亦よしです。 自分を甘やかすのも、弱気にさいなまれ中断するのも自分自身、次の一歩を歩き続けるのも他ならぬ自分自身です。 そして、その判断や行動の源は自らの意(こころ)の感じ方・受けとめ方にあります。 「素直なこころ・清浄心で発心する己」こそが全ての判断や行動の拠るべ、当に自燈明です。  「己こそ己の寄る辺 己を措(お)きて誰に寄るべぞ よく整えられし己にこそ洵(まこと) 得がたき寄る辺をぞ得ん」 です。

 

必要な物の準備

1.準備の基本

"持っていれば便利そうな物"をあれもこれもと準備しがちです。 でも、担いで歩くのは自分の二本の足です。 だから、"なければ困る物"以外は捨てること、“有れば便利なもの”を持たないことです。 ポイントです

 

 2.遍路姿(外見)  … 「 笠ほとけ 杖は大師よ 春の風 」

白衣・笠・杖は必携です。
(1)白衣=昔、遍路に出る折には家族と水盃を交わしてから修行・巡礼の旅に臨んでいました。 その思いが、白衣に代表される白装束へと引き継がれています。 白装束は自浄の仏心に目覚め、身も心も清浄潔白へと甦る遍路旅の証であるといえます。→¥2,700-〜¥4,000- 
歩き遍路さんには袖付き白衣推奨します。 袖無し白衣はリュックを背負うと形崩れし、だらしなく映ります。

(2)(菅笠・網代笠・竹笠)=きつい陽光を涼しく遮断し、雨具にもなる優れものです。
笠の正面に「梵字」、向い側に「同行二人」そして「迷故三界城」「悟故十方空」「本来無東西」「何処有南北」と記されています。 頭に和手拭を巻きその上から笠を被ります。 (注意)笠は梵字が正面を向くようにかぶって下さい。笠紐は付け替えると便利です。→¥2,000-〜¥4,000-

(3)=杖は急な下り道で、総重量(体重+荷物)を杖にかけ膝への荷重を軽減させる道具です。 スリップを予防し、登り道で身体を押し上げる支えとしての機能を持っています。 杖に求められる要件は・重力(重量×加速度×段差)を支え得る強度、・両手ですがりやすい長さ、・持ち運びに負担とならない軽さ、・遍路道具としての外観などを備える必要があります。 歩き遍路さん用に適した杖を販売している店はありませんので、ご自分で作られること【自作】をお勧めします。 →(車遍路用の金剛杖)¥630-〜¥1,700-

巡拝用品販売

本サイトの巡拝用品販売ページでも購入が可能です。


3.リュック
胸と腰に装着ベルト付きの25〜35リットル位が適当です。⇒容量が大きいと知らぬ間に余分な荷物を持ち過ぎてしまいます。 以下のような荷物を収納し、可能な限り軽量化を図ります。

 

4.所持する物

には滑り止め手袋、 杖は身の丈、 に和手拭と遍路笠、 白衣を着用し、 にタオルとペットボトルホールダーを斜めに掛け、 衣類は速乾性重視です。 衣服は薄着推奨。

5.靴   ← 重要ポイントです!
成否を左右します
歩き遍路は長時間・長距離を歩きます。 歩いて巡る貴方の足サイズは、朝と比較して夕方には1cm程度大きくなります。⇔(疲労すると身体の体液が下に溜るためです。)  そのため、朝方にはピッタリと馴染んでいた靴も夕方には小さすぎる靴になってしまいます。
靴サイズが合わないと、1.擦れて足の皮膚が赤く腫れ肉刺ができ痛みます2.指先が突っ掛かり爪の出血やもげることもあります3.ひどい症状になると歩行困難な状態に陥ることになります。

靴選びのポイント


肉刺予防策

ポイント

身体の訓練

歩き遍路の本番前に次の事項を行ってください。